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2018.02.10
第13回 症例検討会(小児部門)を行いました。
テーマは「未定頸の極低出生体重児で生まれた1例の定頸に向けたリハビリについて」でした。
*補足情報
極低出生体重児の定頸時期について検討した論文には、「極低出生体重児における定頸獲得時期の検討 日本周産期・新生児医学雑誌 第53巻 第4号」などがあります。
この論文では、脳性麻痺と診断されなかった極低出生体重児の定頸獲得時期を出生体重別、在胎期間別に示し、定頸獲得遅延に影響する入院時周産期因子を検証しています。極低出生体重児の定頸獲得の90パーセンタイル値は、出生体重1,000~1,499gのグループでは修正3.7か月、在胎期間28週以上,37週未満のグループでは3.8か月であることが報告されています。一方、出生体重が~999gのグループでは4.6か月、在胎期間28週未満のグループでは4.7か月であり、出生
体重が軽く、在胎期間が短いほど定頸獲得は遅延することも示されています。これは先行研究と同様の結果であるようです。
またその他にも、定頸獲得時期に、より影響を与える因子としては人工呼吸管理期間と呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome;RDS)の合併の有無が挙げられています。長期間の人工呼吸管理を必要とした児は、神経学的異常が認められない場合でも、粗大運動の発達遅延や、青年期の運動課題テストの低下、心理運動発達指標の低値を示すことがこれまでに報告されており、定頸後の精神・運動発達にも影響を及ぼすため長期間に渡り注意深く経過観察していく必要があることも書いています。このような症例に対しては、早期から発達支援の介入をすることが、予後改善につながる可能性があるためリハビリテーションの役割は重要かもしれません。
長期間の人工呼吸管理が必要な児で定頸獲得が遅延する理由としては、計画外抜管などの予防目的で、長期安静を強いられることが関係している可能性があるようです。さらに出生予定日頃においても極低出生体重児は頸部保持能力が劣ることがこれまでに多く報告されており、その後の定頸獲得にも影響することが考えられています。
また、RDSはその発症率が在胎28週で約70%、在胎30週で約50%と、在胎期間が短いほどRDSの発症率が高いことはよく知られています。この論文で対象となった症例では在胎28週未満の児が1/3を占め、そのうち74%がRDSを発症しており、定頸獲得が遅延する在胎期間の短い児の中にRDSを発症していた児が多く含ま
れており、RDS発症の有無が定頸獲得遅延に影響を及ぼす因子として採択された可能性が考察されています。
株式会社PLAST
小児部門プラストキッズ
kids@plast-project.jp