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2018.01.13

第9回 症例検討会(小児部門)を行いました

第9回症例検討会(小児部門)を行いました

 

テーマは「重度痙直型脳性麻痺児(GMFCS レベル5)のボトックス注射1週後の効果とリハビリ併用について」でした。

 

補足情報

ボトックスとはボツリヌス毒素筋肉注射製剤の商品名です。1980年代から本格的に医学へ応用され、その効果はからだの一部分に注射すると、その局所において筋肉へ向かう神経の末端(あるいは自律神経の末端)にただちに取り込まれ神経を麻痺させます。その結果、注射された筋肉のみを弛緩させることができます。2010年から手や足を含めどの部位でも治療できるようになり、2013年9月までに約11,600名の小児が治療を受けています。これは国内の脳性麻痺児の約35%になりますが、欧州主要国の70~80%の普及率と比べてはるかに及びません。ボトックス治療は、筋肉のつっぱりを軽減するのに大変効果がありますが、国内ではまだあまり広く知られていない状況です。軽症の歩ける幼児でも、かかとを着地しない、つま先歩きの悪い歩行習慣がみられれば、2~3歳の早くから治療し、正しい歩き方を促すべきです。もし、つま先歩きが続けば、早いと4~5歳には足首が変形してしまうからです。同様に、手のひらを上に向けられず、自分の顔を上手に洗えない、あるいは上手に茶碗を持てない場合でも、3~4歳から手の治療を開始します。このような軽い脳性麻痺では、治療後に予想以上に早く運動機能が改善して、数回の治療で終了できる可能性があります。重症の脳性麻痺では、骨格変形が徐々に進み、座りにくくなったり着替えにくくなります。残念ながら、ボトックス治療でも、股関節脱臼や側わんなどを成人期まで完全に予防することは困難です。しかし、ボトックス治療に毎日のストレッチと装具療法を併用すれば、骨格変形の進行を50%以上遅らせ、整形外科手術を5~10年延期させることは十分可能です。

(横浜療育医療センター神経小児科 根津敦夫/2016年7月QA委員改変)

https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=41

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