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2018.08.24

第32回 症例検討会(小児部門)を行いました。

第32回 症例検討会(小児部門)を行いました。

 

テーマは「股関節脱臼リスクの高い脳性麻痺児への訪問リハビリ介入について」でした。

 

脳性麻痺児・者における麻痺性股関節脱臼に対して外科的治療、薬物治療、保存的治療など様々な方法が行われることがあります。

今回は現在日本で行われている股関節脱臼における治療法の概要をいくつか紹介します。

 

①股関節周囲筋解離術

脳性麻痺児では股関節周囲では屈曲・内転筋群が過緊張となることが多く、外反股・骨頭の側方化・臼蓋形成不全などの問題が生じやすくなっています。放置をしておくと股関節屈曲内転拘縮の原因になると言われています。過緊張(痙性)のコントロールを目的として行われる外科的治療の一つが選択的筋解離術です。これは、緊張の強い2つ以上の関節をまたぐ筋(多関節筋)を選択的に解離して、抗重力性を高め、姿勢や運動機能の改善を図るもので、脱臼予防の有効性も示されています。しかし、手術の適応年齢については様々な研究で意見が分かれており一致していないのが現状です。

 

②骨切り術

筋解離術を施工後、股関節亜脱臼や脱臼が残存・進行した場合に実施されることが多いのが骨切り術(大腿骨減捻内反短縮骨切り術)です。大腿骨を切り、プレートなどで固定することで股関節のアライメントを改善することを目的として行われています。手術の実施年齢は平均10代前半と報告している文献をいくつか見つけることができました。

 

③ボツリヌス毒素注射

ボツリヌス毒素という物質を過緊張の筋に対して注射をする事で筋緊張の改善を図る治療法です。投与後数日から2週間程度で作用が発現し、3-4ヶ月程度で効果が減弱するといわれています。そのため、定期的な注射の投与が必要であり、緊張の減弱の度合いなどはそれぞれ違うと言われています。また、注射を打つだけでなくその後、筋緊張が改善した状態でリハビリテーションなどの身体機能練習が必要であると言われています。

 

④装具療法

股関節脱臼については外転装具療法が一般的に保存的治療として行われています。装具療法のみでの治療は下肢の痙性や拘縮が残存し、機能面の改善が見込めないため、ほとんど取られていません。上記に示したような外科的な治療と併せて実施されていることが多いようです。

いくつかの治療法がある中で、治療の選択については主治医の先生と十分な話し合いを行い、選択していくことが大切です。

 

画像はhttp://www.jikeiseikei.com/orthopedics/groin/index.html より引用しています。この東京慈恵会医大のHPは画像もキレイで見やすいです。

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